18 ゼゴラ
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突如 落雷が
辺りの空間が発光
暫くして
大地を震わせる轟音
大木が引き裂かれ
粉々の木片が
ザナザに降る
走り抜けながら回収していた銛を
ザナザは水平に振り回す
何かが出現する予感にザナザは素直に従ったのだ
空間から浮き出た
邪煙が
垂直に伸びる
ザナザは
さらに銛を水平に振り回す
跳躍を加えて
竜巻のように上昇するザナザ
邪煙は
木の裏に入る
ザナザの回転する銛は大木を薙ぎ倒す
邪煙に回転が触れた
地面に墜落した邪煙が
人のような形を取り戻し起き上がる
異形の者である
蜥蜴のような顔
三日月のような口から言葉が
「なるほど
次元を越える
強さが
実在する
か…
おもしろい 」
その異形の者の声は次元を越える不気味さと知性を備えていた
ザナザは
すぐにそれを理解したのである
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異形の者が何か伝えようとしている
とザナザが思う
ザナザは
そう思わされたことをすぐに理解する
異形の者の
伝える力は心話に似て非なる
心話は
互いの心に泉のような通路を設置する
しかし
異形の者は
異様な力で無理に相手側の近くに己の分身を造り上げる
その分身が相手に強引に意志を押し付ける
「タクトフービに
惑わされぬよう
気をつけること
だなザナザ 」
異形の者は
近くて遠くから聞こえる地鳴りのような声
なれど明瞭に意味が伝わるのは不思議
だが
ザナザはまだ
タクトフービを知らない
「きさま
この世界のもの
ではないな…
タクトフービとは
先ほど馬のような物から飛び出てきた
者のことか 」
「そのとおりだ
異世界の異形の我に
真っ直ぐに質問をぶつけるとは
…やはり
おもしろい
我の
この世界での名
を伝えておく
我を必要とする
ことが
これから先にあ
るであろう…
その時は
ゼゴラと呼べ 」
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突然ザナザはゼゴラに
「ゼゴラ
今おまえを必要としている
これから先などと悠長なことを言ってる暇はないぞ
このザナザに
今すぐ力を
貸してくれ 」
異形の者
蜥蜴のごときゼゴラから
驚きの波動が押し寄せる
「なんと
今か…
なんたる適応速度だ
我ら宇宙を渡る者さえ驚かざるをえない
その順応性
だがザナザよ
わが身は
いま
ここにない
この
蜥蜴のごとき姿は
空間に投影された仮の姿
我はいまサンカクの内部に居る
ザナザよ
願いとは
妻のナゥロのことであろう?
ナゥロは無事だ
だが子供らは
すでにタクトフービに
拐われた 」
ザナザは吠えた
吠えて
すぐさま
浜へと引き返した
馬のような物体へと
タクトフービなる者が戻るだろうと予想した
馬のような物体には
通路としての役割があるに違いないと判断した
待ち伏せて
子供らを取り戻さねばならない
ゼゴラは
「まさにそれを助言しようとしたのだ…ザナザ…
不可解な存在… 」