22 詩人レイグスク
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竜Q国としても
猿が第一軍師であるなどと
他国に発表できるわけがない
表向きには
ワノジャという男を第一軍師としている
ワノジャは
もともと第六軍師であった
今は表の第一軍師として
猿の指示を将軍たちに伝える役割を引き受けている
ワノジャは表向きだけとはいえ 第一軍師の肩書きと 第六軍師としての報酬に満足していた
大まかな方針は猿が考えてくれる
ありがたいことであるとワノジャは
猿に頭を下げるに吝かではない
竜Q国王リュウライのワノジャに対する評価は高い
ワノジャは器が大きいのだとリュウライ王は評価している
猿を第一軍師に据えてしまうリュウライ王こそが器が大き過ぎるのだと、第三軍師プムラなどは思うのであった
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詩人の名は
レイグスク
竜Q国の詩人ではあるが
世界中を旅している
この世界の
ほとんどの人々は日々の暮らしに追われ旅などしない
国内さえ旅しない
他国のことなど王や宰相や軍師に任せておけばいいと考えている
詩人や
流れ傭兵
学者など
旅をする者は僅かに存在する
この世界ではまだ
他国の情報を集めるという考えなど
ほとんどない
他国の情報を積極的に収集する国が現れたら
この世界の軍事平衡はすぐに崩れるであろう
と
レイグスクは思う
だが心配はしない
竜Q王に情報収集の必要性について進言したりしない
竜Q王リュウライは詩人の進言を必要としない
リュウライは
王らしい王ではない
竜Q国王は詩人の詩を味わう王である
王らしい王といえば
レイグスクは
王らしい王であるG牙国王を思いだす
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上空に不気味な巨大な黒い雲
レイグスクは
見上げている
三角形の巨大な雲を見上げているレイグスク
あれは雲ではないとレイグスクは知っている
この世界の誰も
あのサンカクを気にしていない
優れた国王や優れた宰相はこの世界にもいるのだが
サンカクについて誰も気にしない
不思議に思い
見上げているのは
詩人レイグスクと
他に少々……
いつからあっただろうか?あの巨大な三角形は
誰に問うこともできない
誰も疑問に思わないということは
誰も答を持っていないということだ
「大きく
この世界が動く 」
レイグスクは
いつも独り言を
発している
ほとんどの場合
レイグスクの独り言は詩として発せられる
しかし
この独り言は……
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