13 スィーナ湖






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ミョールの投げ縄を優雅な踊りのような回転でかわしながらタクトフービは

「ニェンくん無理だよ
この棒をレイリョクで捕まえて飛ばそうとしても
この棒にレイリョクは
作用しないよ  」

「どうして あたいにレイリョクがあると知ってるんだい?
あたいが そのネズミの尻尾のような棒をレイリョクで捕まえて飛ばそうとしていることを
どうして知ってるんだい?
あんたは男なのにレイリョクを
使えるのかい?」

ニェンがタクトフービの気を乱そうと話しかけ続けている

再びダラギャが斬りかかる

その直前

「待ちたまえ待ちたまえ飛刀団諸君
いい話がある
いい話があるから
しばし話を聞いたほうが
ぜったいお得だよ 」



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ダラギャは
タクトフービの話を聞くことにした

タクトフービがなんらかの取引を持ちかけてくることは確実だと思えた

タクトフービを倒して馬のような物体を手に入れようと実行したのだが
それができるという自信がすでにない

洗練されすぎたタクトフービの美しい闘いに魅了されているし
魅了されていることを屈辱だと感じていない
この状況は危険である

まず
話を聞いてからだとダギャは判断した

馬のような物体をどうしても手に入れたい
なぜかこの未知であるはずの物体を知っているのだダラギャは

失われた記憶の重要な部分を
この物体が掘り起こすだろう

いや
それだけではない
この物体はあまりにも重要であるとダラギャは知っている

この重要な物体を手に入れて
その後成さねばならぬ任務をダラギャは知っているはずなのだ



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飛刀団全員が
タクトフービの前に集合している

悠然とした丈高きタクトフービは座り込んでいる飛刀団を前にして爽やかな笑顔を隠さない

タクトフービは美しい銀色の長い髪をスィーナ湖の涼しい風になびかせながら

「まず
ニェンのレイリョクについて飛刀団諸君は認識をあらたにするべきである
ニェンのレイリョクはこの世界において重要だ
ニェンのレイリョクはこの世界で最高レベルに達する可能性さえ
あるのだよ 」

飛刀団はタクトフービの話を理解していないが
おとなしく聞いている
ダラギャにおとなしくタクトフービの話を聞くよう指示されたからではない

タクトフービは真実を講義している
タクトフービは真実を講義することに長けているし
慣れている

そのことを教養に乏しい盗賊たちが察している

そのような状況をタクトフービは作り上げているのだとダラギャは思う
恐ろしい男だと思う

ダラギャは
なぜタクトフービがニェンや他の者の名を知っているのか
この世界以外の世界があるのか
などの質問は控えることにした
とにかく馬のような物体さえ手に入ればよい

タクトフービは
先ほどの格闘で使用した棒を左右に降りながら

「この棒のことを
ニェンはネズミの尻尾のようだと言ったけど
ニェンくん
さすがレイリョク者だ
正解だよ
君たち飛刀団はもっと注意深くレイリョク者であるニェンくんの言葉を
聞くべきだな  」